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- 11 : スコット・スミス『シンプル・プラン』(1993)
- 13 : ジョン・ル・カレ『寒い国から帰ってきたスパイ』(1963)
- 15 : 鮎川哲也『りら荘事件』(1956)
- 17 : 立花隆『宇宙からの帰還』(1983)
- 18 : 馳星周『虚の王』(2000)
2000.4.11 (Tue)
▽スコット・スミス『シンプル・プラン』(1993)

★★★★
A Simple Plan / Scott Smith
近藤純夫 訳 / 扶桑社ミステリー / 1994.2
ISBN 4-594-01356-2 【Amazon】
3人の男たちが小型飛行機の残骸を発見。中にはパイロットの死体と大量のドル札が入っていた。主人公の家に金を移し、半年後に分配しようと計画する。ところが、その取り決めにほころびが生じるのだった。
小さい犯罪がいつしか大きい犯罪へ発展していく。市井の人たちがどつぼにはまっていく筋立てが素晴らしい。人が犯罪に手を染めない第一の理由は割に合わないからであり、良心の呵責なんてのは二の次だ。犯罪とはリスクの高いビジネスである。誰だって金は欲しいし、生活は壊したくない。犯罪が露見して全てが台無しになるくらいだったら、隠蔽のためにいくらでも人を殺せる。欲望と本能が剥き出しになるところがスリリングだった。
2000.4.13 (Thu)
▽ジョン・ル・カレ『寒い国から帰ってきたスパイ』(1963)

★★★★
The Spy Who Came in from the Cold / John Le Carre
宇野利泰 訳 / ハヤカワ文庫 / 1978.5 / 英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞 アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞
ISBN 4-15-040174-8 【Amazon】
イギリス諜報部のリーマスは、ベルリンに独自のスパイ網を築いていた。ところが、東ドイツ諜報部のムントによって、敢えなく壊滅させられてしまう。復讐を誓ったリーマスは、わざと失脚して敵の接触を待つ。首尾よく東側に連れられ、ムントに罠を仕掛けるも、事態は思わぬ方向に転がる。
言わずと知れたスパイ小説の古典。非情な諜報戦をリアリスティックに描いている。徹夜するほどのページターナーではあるけれど、さすがにいま読むとちょっと古いかな。プロットもテーマもどこかで見たような感じで物足りない。もちろんこれは本作のせいではなく、後の作品が影響を受けたということだから、パイオニアの宿命ってやつなのだろう。戦いの構図が裏返しになることで、スパイの悲哀が明るみに出る。その辺の見せ方は周到に練られていて、諜報戦の闇を現場目線で切り取っている。
一連の作戦を改めて振り返ると、上層部の狙いがギリギリの綱渡りであることにびっくりする。彼らは秘密裡に状況を作り出し、遠くから駒をコントロールしなければならない。全ての人間を人間と見なさず、ただ作戦のために利用している。
では、冒頭のアレはどういう位置づけになるのだろう? より深く浸透するために敢えて壊滅させたのか。それとも、バレそうになったのでやむなく犠牲にしたのか。いずれにせよ、民間人でさえ危険に晒すのだから、国家とは国家のためにしか存在し得ないのだろう。資本主義も社会主義もやっていることに変わりはなく、その恐怖を上質のエンターテインメントに昇華している。
2000.4.15 (Sat)
2000.4.17 (Mon)
▽立花隆『宇宙からの帰還』(1983)

★★★★
中公文庫 / 1985.7
ISBN 4-12-201232-5 【Amazon】
宇宙体験による精神的インパクトをテーマに、著者が宇宙飛行士たちにインタビューしている。「宇宙からの帰還」、「神との邂逅」、「狂気と情事」、「政治とビジネス」、「宇宙人への進化」の全5章。
宇宙から地球を眺める。月面から地球を眺める。宇宙船の外で遊泳する。これらの体験によって、宇宙飛行士たちはそれぞれ違ったインパクトを受けている。
取材対象がアメリカ人のせいか、キリスト教の価値観が前提になっていたけれど、そんなローカルトピックどうでもええやんと思う。しょせん聖書なんて作り話なんだし。とはいえ、他の宗教の「神」も信仰の仕方が違うだけで、キリスト教のそれと本質的に変わらないという人もいるし、我々日本人のように不可知論的無宗教の人もいる。でも、やはり根はアメリカ人なんだなあ。私としては、もっとグローバルな人種・宗教に目を向けてほしかった(まあ、そういった人たちは飛んでいないので無理なんだけど)。
宇宙から地球を見ると、大気汚染や戦火、船の航跡までが識別できるという。そして、地球の美しさも写真では分からない、実際に目にしないと分からない美しさがあるという。今すぐ宇宙に飛んでみてえ、と思わせる本であった。

