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- 22 : アゴタ・クリストフ『昨日』(1995)
- 26 : 三島由紀夫『仮面の告白』(1949)
- 31 : 小林健二『飛角桂香の徹底活用術』(2000)
2000.10.22 (Sun)
▲アゴタ・クリストフ『昨日』(1995)

★★★
Hier / Agota Kristof
堀茂樹 訳 / 早川書房 / 1995.11
ISBN 4-15-207975-4 【Amazon】
ISBN 4-15-120035-5 【Amazon】(文庫)
娼婦の息子が腹違いの妹に恋をする。
「書くこと」に妄執する語り手、生きることに必死な亡命者たち、簡潔な描写、テキスト上のトリックなどなど、クリストフ節は健在だった。どうやら悪童日記3部作の続編的な位置づけらしい。
ただもう、著者の自伝的要素を含んだ小説は、先の3部作で著者そのものが消費され尽くしたせいか、初期のような鮮烈さがなくて物足りなかったりする。今後この路線で創作を続けていくのは、著者にとって大きなハンディキャップになるのではないか。ちょっと心配である。
2000.10.26 (Thu)
▲三島由紀夫『仮面の告白』(1949)

★★★
新潮文庫 / 1950.6
ISBN 4-10-105001-5 【Amazon】
著者の自伝的小説。同性愛者の語り手が、クラスメートだった男子学生への恋、女性との肉欲を感じない欺瞞的な関係などを告白する。期間は出生から大学卒業まで。
言わずと知れた三島由紀夫の出世作。死への憧れや同性への肉欲といった、倒錯した観念を赤裸々に綴っている。悲劇的な死に官能を見出したり、糞尿汲取人に心惹かれたりするところは、まさに「異形」という形容がふさわしい。本作は同性愛を扱ったことからセンセーショナルを呼んだそうで、なるほど戦後間もない時期としては極めて先鋭的な小説だったのだと思う。
しかし、今はそれから半世紀後。欲望の時代を生きる現代人からすると、この題材は少々古びている感が否めない。というのも、今日では同性愛の地位が格段に向上しているうえ、様々な性的倒錯を商品化した高度資本主義社会になったため、ここで描かれた観念はありふれたものになっている。個人的には、スキャンダラスな告白録としてではなく、戦時下を舞台にした青春小説として読んだ。
エリートが通う全寮制の男子校といえば、我々庶民には縁のない特権的空間である。女人禁制の校内では他愛のない性的いたずらが横行し、辺り一帯には同族意識に基づくホモセクシャルな空気が立ちこめている。もともと男色家だった語り手はともかく、こういう場所って未発達な性的感覚に一定の影響を与えそうで、つまりまあ、当時のエリートには同性愛者が多かったのではないかと勘繰ってみたくなる。特に昭和初期は学生同士の紳士的な連帯が美徳とされていたわけだし……。今でも男子校・女子校が存在しているけれど、いい加減そういうのは時代錯誤ではなかろうか。
騎士物語の耽読者はドン・キホーテの時代には数多かった。しかしあれだけ徹底的に騎士物語に毒されるには、一人のドン・キホーテであることが必要だった。
そうか、狂うのも才能のうちなのか。それにしても、こういう気の利いた言い回しがすらすら出てくれば楽しいだろうなあと思う。時折出てくる妙な当て字を除けば、文章はけっこう好きな部類かもしれない。
2000.10.31 (Tue)
▲小林健二『飛角桂香の徹底活用術』(2000)

★★★
創元社 / 2000.8
ISBN 4-422-75034-8 【Amazon】
将棋の手筋本。初心者向け。飛車、角、桂馬、香車といった飛び道具の手筋を解説している。
中2で麻雀をおぼえて以来、将棋はめっきり指さなくなってしまった。知ってる戦型もせいぜい居飛車穴熊と早石田くらい。思えば定跡も手筋もろくに勉強してこなかったので、今回何となく目についた本書を手に取ってみた。
将棋は基本的な法則を知らないと力負けするなという印象。「馬は自陣に引け」とか、「端玉には端歩」とか、「玉は下段に落とせ」とか、こういう格言を頭の隅に置いておくだけでも違いが出そう。個人的には、「美濃囲いには継ぎ桂」がもっとも心に響いた。将棋の一番の楽しみは、相手の堅牢な陣を崩すところにあると思う。