Page Topics
- 13 : 陳舜臣 田中芳樹『談論 中国名将の条件』(1996)
- 15 : 川端康成『伊豆の踊子』(1926-)
- 17 : 田中芳樹『中国武将列伝』(1996)
2001.1.13 (Sat)
▲陳舜臣 田中芳樹『談論 中国名将の条件』(1996)
★★★
徳間文庫 / 2000.10
ISBN 4-19-891393-5 【Amazon】
陳舜臣と田中芳樹による対談本。歴史上の人物について気楽な会話を交わしている。
再読。前回は1200円もする単行本で読んだ。田中はこの対談のために陳の著作を再点検していたようで、インタビュワーのごとく陳から話題を引き出している。本書は中国史の豊富な教養が滲み出ていながらも、内容はそれほど堅苦しくないので、就寝前のお供として気軽に読むには最適かもしれない。読み終わってページを閉じたら、何となく忘れてしまうような本である。
田中芳樹が秦檜嫌いを明確に表明していたのが印象に残った。岳飛好きによるありがちな感情論では? と勘繰りたくなるけれど、それにしても実際のところはどうなのだろう。秦檜については、金との講和や軍閥の抑制なんかは評価しても良いように思うのだけど……。
2001.1.15 (Mon)
▲川端康成『伊豆の踊子』(1926-)
★★★
新潮文庫 / 1985.1
ISBN 4-10-100102-2 【Amazon】
短編集。「伊豆の踊子」、「温泉宿」、「抒情歌」、「禽獣」の4編。
以下、各短編について。
「伊豆の踊子」(1926)
旧制高校の20歳の学生が伊豆を旅する。そこで若い踊子に出会う。
寂寥感あふれる自分探し小説。語り手の関心が踊子にフォーカスしていて、他の女に全く心惹かれていないのがもどかしい。健康的な男子なら、背中を流そうというお姉さんの申し出を断らないはずである……。
それにしても、旅芸人の一座が地元の人たちからこんなに嫌われていたとは夢にも思わなかった。現代人からすると粋でいなせな職業に見えるけれど、本作ではほとんど物乞いと同一視されている。デラシネ日本人ということで、ユダヤ人のジプシーみたいな存在だったのだろうか。★★★★。
「温泉宿」(1929)
温泉宿の酌婦たちの群像を季節ごとに切り取っていく。
平成の世からは想像もつかない、昔の日本の景色を堪能した。生きるための厳しさや強かさが目を惹く。★★★。
「抒情歌」(1932)
予知能力を持った女のモノローグ。
物理学の本を素人が読みますと、香も音も色もただそれを感じる人間の感覚器官がちがっているだけでありまして、根はおんなじもののように思われます。科学者達は魂の力も電気や磁力とおんなじようなものであるという、まことしやかなおとぎばなしをつくります。(p.101)
アナクロな世界観を好む連城三紀彦は、川端の小説を参考にしてそう。端正な文章や日本的な情緒など既視感がある。それと、西洋的合理主義を向こうに回すロマンチシズムなんかも。★★★。
「禽獣」(1933)
鳥好きの男の話。
「禽獣」っていうから江戸川乱歩みたいなエログロ小説を予想していた。
どんな名犬でも名鳥でも、他人の手で大人となったものは、たとい貰ってくれと頼まれたにしろ、飼おうとは思わぬのである。
この一文はよく分かる。ペットに限らず子供もそうだな。★★★。
2001.1.17 (Wed)
▲田中芳樹『中国武将列伝』(1996)

★★★
中公文庫 / 1999.12
ISBN 4-12-203547-3 【Amazon】
ISBN 4-12-203565-1 【Amazon】
春秋時代から清時代まで、中国の名将99人をピックアップして解説する。
再読。前回はハードカバーで読んだ。本書は著者の該博な知識が発揮されたガイド本である。いつもの如く文章が鬱陶しかったものの、日本人にとってマイナーな武将を知ることができて参考になる。これを糸口にして各国史に深入りしたい気分だ。まずは本の検索から始めよう……。
上巻の漢楚争覇時代の項に疑問点。著者によると、「劉氏にあらずんば人にあらず」と劉邦が言ったことになっているけれど、これは「劉氏に非ずして而も王たらば、天下、共に之を撃て」(史記「呂后本紀」)を誤解したものなのだろうか。劉邦が平清盛ばりの放言をしていたなんて初耳だったので気になった。
田中芳樹の学者批判はマスコミの官僚批判に似ている。どちらも持論にとって都合の良い仮想敵を作り上げて、威勢よくシャドウボクシングをしているというか。批判自体は良しとしても、毎回毎回レベルの低い類型を持ち出して、「これが正論だ」と言わんばかりに騒ぎ立てる様子はちょっとみっともないと思う。あまりに単調なのでルサンチマンでもあるのかと勘繰ってしまう。
それと、事あるごとに日本の風潮を揶揄し、「自分は分かってるんだ」と優越感に浸るパターンも食傷気味だ。何か(中国)を褒めるために、別の何か(日本、西洋)を貶す態度。この著者は良くも悪くもオタク気質なんだなと思う。
以下、99人のリスト。
- 孫武(春秋時代)
- 伍子ショ
- 范レイ
- 趙襄子
- 呉起(戦国時代)
- 孫ビン
- 楽毅
- 田単
- 廉頗
- 趙奢
- 信陵君
- 李牧
- 白起(秦時代)
- 王セン
- 蒙恬
- 項羽(漢楚争覇時代)
- 張良
- 韓信
- 周亜夫(前漢時代)
- 李広
- 衛青
- カク去病
- 趙充国
- テイ吉
- 陳湯
- トウウ(後漢時代)
- 馮異
- 岑ボウ
- 馬援
- 班超
- 曹操
- 関羽
- 周瑜
- 司馬懿(三国時代)
- 陸遜
- トウ艾
- 杜預(東西両晋時代)
- 王濬
- 陶侃
- 祖逖
- 謝玄
- 檀道済(南北朝時代)
- 韋叡
- 楊大眼
- コク律光
- 蘭陵王
- 蕭摩訶
- 韓擒虎(隋時代)
- 劉方
- 張須陀
- 李靖(唐時代)
- 李セキ
- 秦叔宝
- 尉遅敬徳
- 蘇定方
- 薛仁貴
- 王玄策
- 裴行倹
- 高仙芝
- 郭子儀
- 李ソ
- 李克用
- 王彦章(五代十国時代)
- 周徳威
- 曹彬(宋・遼・金時代)
- 楊業
- 耶律休哥
- 穆桂英
- 狄青
- 宋沢
- 岳飛
- 韓世忠
- 宋弼
- 虞允文
- 孟キョウ
- 完顔陳和尚
- 張世傑
- 伯顔(元時代)
- 郭侃
- 拡廊帖木児
- 徐達(明時代)
- 常遇春
- 姚広考
- テイ和
- 于謙
- 王守仁
- 戚継光
- 袁崇煥
- 秦良玉
- テイ成功
- ドルゴン(清時代)
- 明亮
- 楊遇春
- 李長庚
- 関天培
- 僧格林沁
- 李秀成
- 石達開
- 劉永福