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- 26 : 陳舜臣『中国の歴史 (6)』(1986)
- 27 : 小坂秀二『昭和の横綱』(1993)
- 30 : 東野圭吾『片想い』(2001)
2001.5.26 (Sat)
▽陳舜臣『中国の歴史 (6)』(1986)
★★★★
講談社文庫 / 1991.3
ISBN 4-06-184787-2 【Amazon】
中国史を独自の切り口で語った解説本。この巻では、明代初期のごたごたから清朝支配の翳りまでを扱っている。
『中国の歴史 (5)』の続編。明という国家がしょうもないのは、ひとえに帝位を簒奪した永楽帝のせいなのだな。久しぶりの漢民族王朝だというのに、洪武帝の遺訓を破って宦官に学問をさせている。宦官なんて百害あって一利なく、国が滅ぶもとにしかなっていないのは歴史の証明する通りである。にもかかわらず、彼らを政治に参加させることで権力を持たせている。また、歴代王朝のなかでもっとも官僚の待遇が悪いのもマイナス要素だ。禄に俸給を貰っていないから、結局は賄賂が横行するようになり、明の政治は腐敗していくことになる。
清の康煕帝、ヨウ正帝、乾隆帝は、文化事業を盛んに興した黄金期の皇帝たちだけど、その反面、彼らの時代は文字の獄が凄まじかった。なまじっか文化を理解しているだけに、文化が持つ力に対して敏感になっている。この優れた文化人ならではの弾圧が、当時の光と影を如実に表していて複雑な気分になる。
2001.5.27 (Sun)
▲小坂秀二『昭和の横綱』(1993)
★★★
冬青社 / 1993.12
ISBN 4-924725-19-6 【Amazon】
玉錦から大乃国まで、昭和の横綱31人を取り上げたエッセイ。
昭和の横綱史を俯瞰できたのが良かった。形式は歴史書でお馴染みの紀伝体で、横綱を1人ずつ俎上にのせている。著者の好き嫌いがダイレクトに反映されているせいか、対象によって記事の濃度に差があるものの、昭和年間の大まかな流れを掴むには打ってつけで勉強になる。初心者としては、これを足掛かりに個別の伝記に進むべきだろう。
最近『わが回想の双葉山定次』を読んだので、双葉山と同時代の話(玉錦から照国あたり)が特に面白かった。玉錦のような強豪が壁として立ちはだかっていたからこそ、双葉山の偉業がより劇的に見える。大相撲の醍醐味の一つに、こういう世代交代を目の当たりにすることが挙げられるかもしれない。貴ノ花→千代の富士→貴花田(貴乃花)みたいな。
番外編では、当時大関だった貴乃花(四股名は貴ノ花)について語っている。これがもうべた褒めと言っていいほど褒めていて、著者は彼のことを「双葉山の再来」と目しているようだ。確かにハワイ出身のバケモノたち(奴らは体重が200キロを越えている!)と互角以上に渡り合うところは凄いの一言に尽きる。まさに唯一無比の天才という感じで、大きな期待をかけたくなる気持ちもよく分かる。
2001.5.30 (Wed)
▲東野圭吾『片想い』(2001)

★★★
文藝春秋 / 2001.3
ISBN 4-16-319880-6 【Amazon】
ISBN 4-16-711009-1 【Amazon】(文庫)
主人公は大学のアメフト部OB。彼が10年ぶりに再会した女は、男の格好をしていた。女は殺人を告白、OBは妻と共に彼女を匿うことになる。
性同一障害については説明的な記述で辟易させられたけれど、そこにミステリの因果関係が上手く絡んでいて、小説としてちゃんと読める作品になっていた。知的好奇心を満足させる物語という意味で、小学生向けの学習漫画を思い出す。エンタメの強味は、時事問題にコミットするフットワークの軽さにあると思う。
男女の境界を「メビウスの輪」に例えるところが絶妙。作家的想像力がダイレクトに働いている。また、ミステリ小説らしく伏線も巧みで、最初の飲み会のシーンが絶妙だったりする。