2001.7b / Pulp Literature

2001.7.12 (Thu)

日垣隆『偽善系II』(2001)

偽善系II(110x160)

★★★★
文藝春秋 / 2001.3
ISBN 4-16-357190-6 【Amazon
ISBN 4-16-765504-7 【Amazon】(文庫)

『偽善系』の続編。戦後民主主義の偽善をテーマにした辛口エッセイ集。

第三章「辛口評論家の正体」が面白かった。ここでは佐高信の著作や言動に対し、44ページにもわたって、突っ込みを入れたり悪口を浴びせたりしている。『偽善系』に見られた著者の粘着気質がすごい。親父ギャグを連発する佐高信に合わせて、「正気の沙汰か佐高信!」と突っ込んでいる。

ほか、田中知事誕生前の長野県政腐敗を書いた章はなかなか。「何でも買って野郎日誌」は、著者のファンでもない限り読んでも面白くないだろう。人権問題については、2冊目にして既に食傷気味。常にぴりぴりしていて余裕のなさを感じる。

2001.7.14 (Sat)

黄文雄『醜い中国人』(1994)

★★
徳間文庫 / 2001.6
ISBN 4-19-891515-6 【Amazon

中国人はクズだと主張している。「中国人の歪んだ精神構造」、「中国人と日本人の戦略思考」、「中国人商法的VS.日本人商法」、「中国人と日本人の価値観」、「中華思想と大和魂」、「道教と神道」、「中国人と日本人の国民性」、「哀れな中国人」、「日本国の行方」の全8章。

各章のタイトルから推察できる通り、中国人を日本人と比較して貶している。こういう論法だと仕方がないのだろうけど、やたらと日本人を持ち上げていて気持ち悪い。

「21世紀は中国の時代だ」という言説を否定している。帝国主義の時代に「眠れる獅子」と恐れられていた中国(当時は清王朝)は、目を覚ますことなく列強に分割されてしまった。その実績と、一人っ子政策で将来「老人大国」になるという予測を根拠にしている。しかし、「老人大国」については、比較対象である日本にも当てはまる(そもそも、先進国は多かれ少なかれ少子高齢化が進んでいる)ので、この部分に説得力はない。また、過去に失敗したからといって、将来も同じ失敗をするとは限らないだろう。とりあえず、著者が筋金入りの中国嫌いであることはよく分かった。

2001.7.20 (Fri)

陳舜臣『中国の歴史 (7)』(1986)

中国の歴史〈7〉(104x140)

★★★★
講談社文庫 / 1991.4
ISBN 4-06-184788-0 【Amazon

中国史を独自の切り口で語った解説本。この巻では、清の崩壊から中華民国の成立、日本との十五年戦争までを扱っている。

『中国の歴史 (6)』の続編。外国に蹂躙されるわ反乱が起きるわで、清王朝は崩壊の一途を辿っている。体面を重んじる中国は、他に対等な国があることを認めず、実質的な外交を朝貢という形でこなしていた。ところが、時代は国際化の動きが激しい19世紀、さらには武力がものを言う帝国主義の時代である。西洋人に「三跪九叩頭」なぞ通用するはずもなく、経済では国内にアヘンをぶちまかれ、戦争では破壊と略奪の限りを尽くされ、不平等条約によってまんまと搾取体制を敷かれている。踏んだり蹴ったりとはまさにこのこと。……なのだけど、上層部は本気で近代化に取り組まないのだから救いようがない。権力を維持するためにお互いがお互いの足を引っ張っている。

袁世凱の奸雄ぶりに驚いた。清朝では軍閥の領袖として重職を担っていたのだけど、辛亥革命が勃発するや、大統領の地位と引き換えにあっさり王朝を裏切っている。そして、新国家(中華民国)になってからは集権化を推進、何を血迷ったか皇帝を名乗ってしまう。おいおい、これでは革命の意味がないじゃないか! 結局、こいつは権力が欲しいだけだったんだなあ。国の安泰なんかまったく考えていない。その利己的な性格にぞっとする。

>>Author - 陳舜臣