2001.9a / Pulp Literature

2001.9.2 (Sun)

木田元『ハイデガーの思想』(1993)

ハイデガーの思想(97x160)

★★★★
岩波新書 / 1993.2
ISBN 4-00-430268-4 【Amazon

<存在とは何か>という古代ギリシャから続く問題に取り組んだハイデガー。『存在と時間』【Amazon】の解釈を通じて、前期の哲学を明らかにする。

ハイデガーは人間を本来性に立ちかえらせ、本来的人間性にもとづく新たな存在概念、おそらくは<存在=生成>という存在概念を構成し、もう一度自然を生きて生成するものと見るような自然観を復権することによって、明らかにゆきづまりにきている近代ヨーロッパ人の人間中心主義的文化をくつがえそうと企てていたのである。それは、一方ではニーチェの意志を継ごうとするものであろうが、他方では、スタイナーの言うように、第一次大戦後の黙示録的雰囲気に強く促されたものでもあったろう。(p.140)

これは名著と言って良いんじゃないかな。新書としては、『はじめての構造主義』【Amazon】や『フロイト以後』【Amazon】と肩を並べるほど分かりやすく、<現存在>をはじめとする独自用語を丁寧に解きほぐしている。本書のポイントは、巨人ハイデガーからほどよく距離を置き、その足跡を冷静に見極めているところだろう。信者のように傾倒せず、かといってアンチのように弾劾せず、記述には公平を心がけている。

私は黙示録的気分になったことがないので、著者が衝撃を受けたらしい「存在論」の重要性がいまいちピンとこなかった。けれども、本書の詳細な解説によって、ハイデガーという哲学者が、2500年に及ぶ西洋哲学を根本から揺るがした人物であることはよく分かった。彼の偉業は、みんな大好きフランス現代思想にまで繋がっている。

2001.9.5 (Wed)

岩田規久男『経済学を学ぶ』(1994)

経済学を学ぶ(99x160)

★★★★
ちくま新書 / 1994.9
ISBN 4-480-05602-5 【Amazon

経済学の入門書。「経済学の考え方」、「市場経済の考え方」、「ミクロ経済学の基礎」、「現代企業の行動」、「市場と政府」、「マクロ経済学の基礎」、「マクロ経済の安定と変動」、「経済学の学び方」の8章。

経済学に興味を持った人が最初に読むべき本じゃなかろうか。自然体の文章がとても美しく(「実用の美」ってやつ)、『ケインズを学ぶ』とは雲泥の差がある。

以下、巻末の文献案内から抜粋。

  1. 日本経済新聞社編『経済新語辞典』(日本経済新聞社)
  2. 日本銀行経済統計研究会編『経済指標の見方・使い方』(東洋経済新報社)
  3. 『図説日本の財政』(東洋経済新報社)
  4. 『図説日本の税制』(財経詳報社)
  5. 日本銀行金融研究所『わが国の金融制度』
  6. 住友信託銀行・運用企画部調査課編『ビジネスマンなら知っておきたい金融の基礎テキスト』(日本能率協会)
  7. 『図説日本の証券市場』(財経詳報社)
  8. 『図説国際金融』(財経詳報社)
  9. 島田とみ子『年金入門』(岩波新書)
  10. ドーフマン『価格と市場』(東洋経済新報社)
  11. 岩田規久男『ゼミナールミクロ経済学入門』(日本経済新聞社)
  12. 新開陽一『マクロ経済学第二版』(東洋経済新報社)
  13. 中谷巌『入門マクロ経済学第三版』(日本評論社)
  14. 岩田規久男・堀内昭義『金融』(東洋経済新報社)
  15. 山澤逸平『国際経済学』(東洋経済新報社)
  16. 小野旭『労働経済学』(東洋経済新報社)
  17. 柴田弘文・柴田愛子『公共経済学』(東洋経済新報社)
  18. 蓑谷千鳳彦『計量経済学』(東洋経済新報社)
  19. 貝塚啓明『財政学』(東京大学出版会)
  20. 野口悠紀雄『公共経済学』(日本評論社)
  21. R・ギル『経済発展論』(東洋経済新報社)
  22. R・ケイブス『産業組織論』(東洋経済新報社)
  23. M・エーデル『環境の経済学』(東洋経済新報社)
  24. W・M・コーデン『国際マクロ経済学』(東洋経済新報社)
  25. 岩田規久男『国際金融入門』(岩波新書)
  26. 日本経済新聞社編『ゼミナール日本経済入門』(日本経済新聞社)
  27. 岩田規久男『日経を読むための経済学の基礎知識 改訂三版』(日本経済新聞社)
  28. 岩田規久男『間違いだらけの経済常識』(日本経済新聞社)
  29. 岩田規久男『金融入門』(岩波新書)
  30. 岩田規久男『インフレとデフレ』(講談社現代新書)
  31. 岩田規久男『ストック経済の構造』(岩波新書)
  32. 野口悠紀雄『土地の経済学』(日本経済新聞社)
  33. 野口悠紀雄『バブルの経済学』(日本経済新聞社)
  34. 蝋山昌一『金融自由化の経済学』(日本経済新聞社)
  35. 石井菜穂子『政策協調の経済学』(日本経済新聞社)
  36. 竹中平蔵『日本経済摩擦の経済学』(日本経済新聞社)
  37. 有賀健編著『日本的流通の経済学』(日本経済新聞社)
  38. 林宣嗣『都市問題の経済学』(日本経済新聞社)
  39. 岩田規久男『金融政策の経済学』(日本経済新聞社)
  40. 本間正義『農業の政治経済学』(日本経済新聞社)
  41. 八田達夫『直接税改革』(日本経済新聞社)
  42. 岩田規久男『土地改革の基本戦略』(日本経済新聞社)
  43. 宮尾尊弘『「ストック経済」の時代』(日本経済新聞社)
  44. 清塚篤『高齢者の労働経済学』(日本経済新聞社)
  45. 伊藤隆敏『消費者重視の経済学』(日本経済新聞社)
  46. 三輪芳郎『金融行政改革』(日本経済新聞社)
  47. 経済企画庁編『経済白書』(大蔵省印刷局)
  48. 『アメリカ経済白書』(日本評論社)
  49. 経済企画庁物価局編『物価レポート』
  50. 『経済セミナー増刊ガイダンス経済学』(日本評論社)
  51. 竹内靖雄『市場の経済思想』(創文社)