2001.10a / Pulp Literature

2001.10.8 (Mon)

ローレンス・ブロック編『巨匠の選択』(1999)

巨匠の選択 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)(81x140)

★★★★
Master's Choice / Lawrence Block
田口俊樹・他 訳 / 早川書房 / 2001.9
ISBN 4-15-001706-9 【Amazon

アンソロジー。9人の作家が、「自作のお気に入り短編」と「他人のお気に入り短編」の2つをコメント付きで選出する。選出者は、スティーヴン・キング、ピーター・ラヴゼイ、ハーラン・エリスン、エド・ゴーマン、ジョーン・ヘス、ジョン・ラッツ、ビル・プロンジーニ、トニイ・ヒラーマン、ローレンス・ブロック。

全18編中、5つ星をつけたのは、ドナルド・E・ウェストレイク「悪党どもが多すぎる」、エド・ゴーマン「血脈」の2編。4つ星をつけたのは、スティーヴン・キング「ウェディング・ギグ」、ジャック・フットレル「13号独房の問題」、スティーヴン・クレイン「青いホテル」、ジョン・ラッツ「法外な賭け」、W・F・ハーヴェイ「八月の熱波」、ビル・プロンジーニ「魂が燃えている」の6編。さすが、巨匠が選んだだけあって豊作だった。

以下、各短編について。

スティーヴン・キング「ウェディング・ギグ」(1980)"The Wedding Gig"

ホラーでもミステリでもない。★★★★。

ジョイス・キャロル・オーツ「第二級殺人」(1998)"Murder-Two"

オーツらしい歪んだ愛情を描いている。★★★。

ピーター・ラヴゼイ「ミス・オイスター・ブラウンの犯罪」(1991)"The Crime of Miss Oyster Brown"

イギリス風の毒っ気。★★★。

ドナルド・E・ウェストレイク「悪党どもが多すぎる」(1989)"Too Many Crooks"

泥棒ドートマンダーを主人公にしたシリーズ。このシリーズは「ルパン三世」好きにお勧めである。★★★★★。

ハーラン・エリスン「くたびれた老人(コーネル・ウールリッチへのオマージュ)」(1975)"Tired Old Man"

常々思うのだけど、この著者は作品よりも逸話や裏話の方が面白いのではなかろうか。壮絶な人生を送っている。★★★。

ジャック・フットレル「13号独房の問題」"The Problem of Cell 13"

シンキング・マシーンによる脱獄。★★★★。

エド・ゴーマン「血脈」(1996)"En Famille"

本書一番の収穫。エミール・ゾラに影響を受けたらしい。★★★★★。

スティーヴン・クレイン「青いホテル」"The Blue Hotel"

んー、最初の被害妄想さえなければ大傑作になったと思う。★★★★。

ジョーン・ヘス「もうひとつの部屋」(1990)"Another Room"

フロイト先生を持ち出したくなるような短編。★★。

ジュディス・ガーナー「いたずらか、ごちそうか」 (1975)"Trick or Treat"

イギリス人から見たハロウィン。あまり馴染みないしねえ。★★。

ジョン・ラッツ「法外な賭け」(1984)"High Stakes"

ロアルド・ダールっぽい。グッド! ★★★★。

W・F・ハーヴェイ「八月の熱波」"August Heat"

ラスト一行の味わい。★★★★。

ビル・プロンジーニ「魂が燃えている」(1991)"Souls Burning"

名無しのオプもの。★★★★。

ベンジャミン・アベル「ソーセージ売り殺し」(1934)"Murder of the Frankfurter Man"

ウエスト・サイド物語。★★。

トニイ・ヒラーマン「ガス処刑記事第一信」(1993)"First Lead Gasser"

しんどかった。★★。

ジョー・ゴアズ「さらば故郷」(1969)"Goodbye, pops"

同上。★★。

ローレンス・ブロック「どこまで行くか」(1997)"How Far It Could Go"

都会派らしく洒落ている。でも、ローレンス・ブロックはもっと良い短編があると思う。★★★。

ジョン・オハラ「木立の中で」(1960,1961)"In a Grove"

ワーナーがモデル? ★★★。

最後に。何だか、面白い作品を書く作家は推薦作品も面白く、逆につまらない作品を書く作家は推薦作品もつまらない、という身も蓋もない結果になってしまった。これは波長の問題なのかな。