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2001.10.25 (Thu)
▽柳広司『贋作『坊っちゃん』殺人事件』(2001)

★★★★
朝日新聞社 / 2001.9
ISBN 4-02-257670-7 【Amazon】
ISBN 4-08-747803-3 【Amazon】(文庫)
夏目漱石『坊っちゃん』の後日譚。学校を去ってから3年が過ぎたある日、「おれ」のところに山嵐がやってきた。何でも赤シャツが自殺したという。釈然としない「おれ」は再び松山へ向かう。
かなりぶっ飛んでいて面白かった。赤シャツはなぜ赤いシャツを着ていたのかとか、寄宿舎での騒動の真実とか、師範生との騒動の裏話とか。元のテクストを斬新に解釈していて、まるでパズルのピースがはまるようなカタルシスが味わる。『坊っちゃん』には隠れファクターとして、もうひとつの闘争があったのだ。
「おれ」は相変わらず親譲りの無鉄砲である。『坊っちゃん』読者ならニヤリとしてしまうような描写やエピソードに溢れているので、好きものにはたまらないものがあるだろう。また、レギュラーメンバーも忘れてはいけない。狸は転勤し、野だは癲狂院に入院、マドンナは相変わらずマドンナでいる。後日譚としてはなかなか大胆な改変だ。
この小説の一番のポイントは、版元が朝日新聞社であることだ。漱石が同社に勤務していたという縁もあるけれど、それ以上に内容がいかにも朝日って感じで面白い。こんな自社の思想をおちょくった小説を出すなんて、朝日新聞はなかなか偉いと思う。冗談の分かる会社なんだなと感心した。
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