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- 03 : 東野圭吾『レイクサイド』(2002)
- 04 : 戸梶圭太『アウトリミット』(2002)
- 07 : 三島由紀夫『春の雪』(1969)
2002.4.3 (Wed)
▽東野圭吾『レイクサイド』(2002)

★★★★
実業之日本社 / 2002.3
ISBN 4-408-53413-7 【Amazon】
ISBN 4-16-711010-5 【Amazon】(文庫)
子供のお受験のため、別荘で数世帯の親子が合宿していた。そこで殺人が起きるも、みんなでそれを隠蔽する。
魅力的な謎に巧緻な伏線、そして意外な結末。アベレージヒッターらしい質の高い小説だった。
物語の焦点は、なぜ赤の他人が隠蔽工作に協力するのか? にある。殺人を隠し通すにはコストがかかるし、事件が事件だけにリスクも大きい。それに数世帯が滞在しているのだから、モラルを巡って仲間割れがおきるかもしれない。普通だったら犯人に自首を勧めるはずだ。それなのに彼らは積極的に殺人を隠蔽している。
数世帯で合宿するというシチュエーションのため、必然的に乱交が動機だろうと思ってしまう。親たちの乱れた性を明るみに出さないため、一致団結しているみたいに考えてしまう。ところが、さすがテクニシャン東野。そんな陳腐な予想を裏切る意外な動機が用意されていた。
2002.4.4 (Thu)
2002.4.7 (Sun)
▲三島由紀夫『春の雪』(1969)

★★★
新潮文庫 / 1997.7
ISBN 4-10-105021-X 【Amazon】
侯爵家の長男・松枝清顕には、綾倉聡子という年上の幼馴染みがいた。聡子は没落した伯爵家の令嬢で、清顕に恋心を抱いている。ところが、些細な出来事から2人の仲はこじれ、聡子は皇族と婚約することに。自分の本心に気がついた清顕は、聡子と密通を重ねるようになる。
全4部からなる「豊饒の海」の第1部。三島の集大成ということで身構えていたら、意外と俗っぽい筋立てでびっくりした。封建主義が色濃く残る明治末期を舞台に、悲劇的な禁断の恋を描いている。
さすが三島由紀夫、童貞のエゴイズムを描かせたら彼の右に出る者はいない。この小説はとにかく清顕が酷すぎて、こんなクズがなぜ大作の主役を張り、あまつさえ「転生」の役目を負うのかが気になる。というのも、こいつはとてつもなく器が小さいのだ。教育係の飯沼をねちねち虐めたり、親友の本多を面倒に巻き込んだり、幼馴染みの聡子を不幸のどん底に陥れたり、要するに思慮の足りないお坊ちゃん。「転生」というのは神に選ばれた特殊能力(?)だから、もっと英雄的な人物が対象になるのかと思っていた。それが蓋を開けたらチンケな青瓢箪だったのに驚く。容姿以外に取り柄のないダメ男だったのに驚く。およそヒーローの資格のない清顕は、3度に及ぶ「転生」によって何を得るのだろうか? 続きがとても気になる。
三島の文章って表面的には絢爛豪華に見えるけれど、その輝きは模造ダイヤみたいなんだよね。本当に美しいのではなく、「美しい」を装っているというか。機知に富んだ比喩がばんばん出てきて感心する反面、表現そのものにはあまり必然性がなく、たまに空虚さを感じてしまう。きっとこの人は天才じゃなくて秀才なんだろうな。脳味噌に相当ストックがあるんだと思う。
まあ、何にしても次巻が楽しみだ。
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