2003.7a / Pulp Literature

2003.7.2 (Wed)

戸梶圭太『燃えよ! 刑務所』(2003)

★★
双葉社 / 2003.6
ISBN 4-575-23467-2 【Amazon

2部構成。(1) 警察官僚のOBが刑務所の民営化を働きかける。(2) めでたく民営化し、所長に就任。囚人たちを使って運営資金を稼ぐ。

シャバの一般人は不況でぜいぜい喘いでいるのに、刑務所の犯罪者は税金でぬくぬく養われている。というわけで、今回は刑務所を題材にしたドタバタコメディ。「刑務所でやりたい放題」を骨子に、過激派と化した犯罪被害者グループや、超常現象ネタなどが入り乱れる。

お笑いネタに関しては、小泉首相ネタや創価学会ネタ、ロリコン妄想ネタなどけっこう際どいネタが使われている。けれども、『未確認家族』以降の長編作品は、「確かに笑えるが往時ほど爆笑できない」という微妙な位置をさまよっていて、本作もそこから脱却していないように思った。特に今回は連載からの加筆・修正が不十分だったのか、話の作り込みが甘いので余計ひっかかる。

2003.7.9 (Wed)

チャールズ・ディケンズ『大いなる遺産』(1860)

★★★
Great Expectations / Charles Dickens
山西英一 訳 / 新潮文庫 / 1951.10
ISBN 4-10-203001-8 【Amazon
ISBN 4-10-203002-6 【Amazon

鍛冶屋育ちの少年ピップが遺産相続人になる。

成熟した語り手が未成熟な時代を回顧する形式。基本的には語り手の人生を切り取ったビルドゥングス・ロマンだけど、同時にこの語り手は周りの悲劇を媒介する狂言回しとしても機能している。接点のなさそうな複数の挿話が一つの物語に統合されるところは、いかにも大時代的な小説といった貫禄がある。……というかこれ、はっきり言ってやりすぎだろう。ここまでやられると脱力するってくらい話が繋がっている。