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- 22 : ナサニエル・ホーソーン『緋文字』(1850)
- 30 : 太田龍『中国食人史』(2003)
2003.9.22 (Mon)
▲ナサニエル・ホーソーン『緋文字』(1850)

★★★
The Scarleet Letter / Nathaniel Hawthorne
八木敏雄 訳 / 岩波文庫 / 1992.12
ISBN 4-00-323041-8 【Amazon】
ISBN 4-10-204001-3 【Amazon】(鈴木重吉訳)
17世紀アメリカのボストンは、ピューリタンが暮らす小さな植民地だった。ある夏の朝、私生児を抱えた女が胸に姦淫の印を付けて晒し者になる。
たまたま手元にあった鈴木重吉訳(カバーに映画のスチールが使われている)で読んだ。岩波文庫版には、本書にはない序文「税関」が載っている模様。
晒し台のシーンで聖母マリアと対照されるように、緋文字の女は罪を背負うがゆえに聖性を獲得する。作中で明示されているわけではないけれど、緋文字の「A」とはおそらくAdulteress(姦婦)の「A」なのだろう。しかしその文字は時にAngel(天使)、時にAble(力ある)と解釈され、またある種の深読み好きの読者には、その背景にあるAmericaさえも連想させる。
緋文字の意味はともかく、この小説の狂信的なキリスト教オーラは半端じゃないと思う。法律といってもそれは1600年前の絵空事が大元になっているわけで、彼らが定める「姦通=死刑」に正当性があるとはとても言い難い。政教分離が当たり前の我々からすると、社会のルールが理性を超越しているように見える。この小説は女への仕打ち、および生真面目な牧師の葛藤を通して、そういう抑圧的な世相を風刺しているのだろう。女、牧師、老医師を結ぶ歪な三角関係。悪魔的な老医師からの「解放」を提示することで、厳格極まりないピューリタンの信仰を問い直す。キリスト教徒の内輪話としては悪くない内容だと思う。
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