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- 01 : 連城三紀彦『あじさい前線』(1988)
- 05 : 伊坂幸太郎『重力ピエロ』(2003)
- 07 : ジェフリー・ディーヴァー『石の猿』(2002)
2003.11.1 (Sat)
▲連城三紀彦『あじさい前線』(1988)
★★★
中公文庫 / 1992.5
ISBN 4-12-201901-X 【Amazon】
離婚を機に中年女が日本列島男巡りの旅に出る。
20年前に関係を持った8人の男たちに会いに行くという、『舞踏会の手帖』【Amazon】式の小説。何となく悪趣味どろどろ話を予想しそうだけど、そこら辺は男たちの積極性によって上手くカモフラージュされている。ほとんどの野郎がまっとうな家庭を築いていないのはご愛敬。連城ワールドでは、不義・姦通は大人の嗜み、欲求不満は良き隣人なのである。
「自分探し小説」の体をとった本作は、失われた時間に共感を持てる世代向けではないかと思った。そういう意味で私はその真価を理解できる立場にあるとはいえず、正直なところ、昼メロの様式美というか世界観にいまひとつ馴染めなかった。様式美といえば、みんなが標準語を話すなか1人だけ関西弁(しかも似非)を話す輩がいるのだけど、その使い方にも抵抗をおぼえる。関西弁で話す人間は3枚目でなければならないのだろうか(*1)、と。
ところで、最初に「20年前に関係を持った8人の男たち」と書いたものの、この「関係」は別に肉体関係とは限らない。その一歩手前の段階が多く、この繋がり方に主人公が「平凡な女」の枠を越えないようにする配慮が窺える。
2003.11.5 (Wed)
2003.11.7 (Fri)
▼ジェフリー・ディーヴァー『石の猿』(2002)
★★
The Stone Monkey / Jeffery Deaver
池田真紀子 訳 / 文藝春秋 / 2003.5
ISBN 4-16-321870-X 【Amazon】
リンカーン・ライムシリーズ4作目。蛇頭の殺し屋がアメリカに密入国した中国人たちを狩る。
このシリーズは、微細証拠物件から犯人の行動を推理するという捜査方法が興味深いから読んでいるのだけど、本作は色々な部分がマンネリ化していてきつかった。殺し屋に関連したサプライズは旧作からの飛躍が見られないし、回復手術をネタにした落涙話も食傷気味、推理・捜査も強引なきらいがあっていまいち興味をそそらない。というか、そもそもリンカーン・ライムの四肢麻痺という設定が、登場人物との友情醸成以外に必然性が無くなっているところに違和感をおぼえる。
くわえて、今回は粗雑な部分が目に付く。特に科学捜査は問題で、アメリア・サックスの神懸り的な直感は、冗談としか思えないレベルにまで達していて驚かされる。何というか、あんたの持っている材料から犯人の思考をトレースしても、絶対にそこまでは分からないだろう、と。また、例の人物から警備が解かれるのは都合良すぎだし、このページで突っ込まれている通り、最初に疑問視されるべき「狩り」の動機が、終盤まで棚上げ状態なところも気になる。
そういうわけで本作は、米国謹製スペクタル・アクション映画のような楽しみ方をすべき小説なのだろう。つまり、あら探しをしながら読むなということ。しかし、虚心で読んでも目に付くんだからしょうがない。