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- 01 : ドン・デリーロ『コズモポリス』(2003)
- 09 : キアラン・カーソン『琥珀捕り』(1999)
2004.4.1 (Thu)
2004.4.9 (Fri)
▲キアラン・カーソン『琥珀捕り』(1999)

★★★
Fishing for Amber / Ciaran Carson
栩木伸明 訳 / 東京創元社 / 2004.2
ISBN 4-488-01638-3 【Amazon】
オランダ色濃厚な物語のごった煮。
さまざまな神話や伝記、蘊蓄などが複雑な入れ子構造で語られていく異色の物語。入れ子具合がはじけていたり、話題が多岐に渡っていたりするため、現在のエピソードはどのレベルの語り手によって語られているのか、というのを把握するのにけっこう手間取った。物語全体を牽引するような明快な筋はなく、「琥珀」や「フェルメール」といったキーワードによって、いくつかのエピソードは緩かに繋がりを持っている。
この小説は様々な場面で名詞を並べ立てている。読む側にとっては目障りで鬱陶しい反面、この羅列が語り手の博識さ、引いては物語の豊饒さを引き出している。さらに羅列が手を替え品を替え何度も出てくることで、ちょっとした変奏曲のような趣さえ感じられる。
対蹠地(Antipodes)から回転のぞき絵(Zoetrope)まで、のらりくらりと物語が溢れ出る本作。意外な繋がりが判明したり、隠れたテーマが浮上したりする終盤の畳みかけが気持ちいい。正直、興味の持てたエピソードと持てなかったエピソードが半々くらいで、途中まであまり印象は良くなかった。なので、この終盤でかなり救われた思いがした。
数々の物語が詰まった本作は、一日一章づつ寝る前に捲るのがベストな読み方なのだろう。ギャラリー相手に夜な夜な物語を披露する冒険王ジャックのエピソードなんかは、まさにそういう楽しみを体現したものだった。逆にいえば、一気読みは辛かったりする。
