2004.10a / Pulp Literature

2004.10.9 (Sat)

ミッキー・スピレイン『裁くのは俺だ』(1947)

裁くのは俺だ(113x160)

★★★
I, The Jury / Mickey Spillane
中田耕治 訳 / ハヤカワ文庫 / 1976.5
ISBN 4-15-071451-7 【Amazon

私立探偵マイク・ハマーの友人が、何者かに殺された。ハマーは犯人を捜し出してぶち殺すことを誓う。

いかにもマチズモなタイトル。内容もまあその通りで、正義に燃える我らがハマーくんが男根誇示的な方法で事件を捜査する。悪党どもには容赦しねえ。逆らう奴はぶっ飛ばせ。法律なんざ糞食らえ。裁くのは俺だ。俺が法律だ!

しかし、タフガイと言えば聞こえはいいけれど、実のところハマーくんはお友達(警察)の権威を盾にいばり散らしてるだけなので、あまり気分は良くない。同じタフガイ系でも伊達邦彦シリーズが爽快なのは、基本的に彼が孤独なアウトローで、国家権力のような強力なバックグラウンドを持っていないからだ。最近は歳を食ったせいか、ハマーみたいなタイプが苦手になってきている。

と、少々呆れ気味だったものの、謎解きに到達したところで圧倒された。犯人との対決に異様な緊迫感があるのだ。推理の説明という退屈な手続きに、けっこうなプレッシャーを交える演出が良い。さらに、とある道具を用いた結末なんか、まるでフロイトを意識したかのようである(この小説では精神科医が重要な役割を果たす)。チャンスが多い割に一度もベッドシーンがなかったのも、これと関係があるのかもしれない。