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- 25 : 原りょう『私が殺した少女』(1989)
2004.11.25 (Thu)
▽原りょう『私が殺した少女』(1989)

★★★★
ハヤカワ文庫JA / 1996.4 / 第102回直木賞
ISBN 4-15-030546-3 【Amazon】
私立探偵・沢崎シリーズの2作目。沢崎が営利目的の少女誘拐事件に巻き込まれる。犯人の指示で身代金の運び役を引き受けるはめに。
最新作を読むために再読。日本の営利誘拐のほとんどが、被害者の身内か知人による犯行だという。犯人側が恐ろしく慎重でかつ狡猾なため、捜査陣は振り回される。沢崎は暴行によって気絶させられたり、犯人に仕立て上げられそうになったり、もう大変。急展開後、探偵は親類の依頼もあって身内を洗っていき、反撃の狼煙をあげる。
リアル志向の都市型探偵小説ということで、どうしても最近読んだ『生首に聞いてみろ』を思い出すのだけど、本作は謎解きも捻りも『生首〜』の後だとちょっと物足りない。なぜそう感じるのかというと、『生首〜』が仮説と検証を繰り返す構造だったからで、探偵役が試行錯誤をしながら、短いサイクルで捜査方針を修正していくところが刺激的だった。さらに終盤の捻りも、伏線が縦横無尽に張り巡らされていて満足度が高かった(ついでに、後味の悪さも良かった)。
ただ、これは単純に読むタイミングの問題であり、単体で判断すれば本作は良質のハードボイルドなんだと思う。特に沢崎のへらず口は今回も快調で、会話や地の文で使われるフレーズが、実生活で使用してみたくなるほどウイットに富んでいる。雰囲気の格好良さに関しては、本家チャンドラーを越えていると思う。