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- 04 : 高村薫『黄金を抱いて翔べ』(1990)
2004.12.4 (Sat)
▲高村薫『黄金を抱いて翔べ』(1990)
★★★
新潮文庫 / 1994.1
ISBN 4-10-134711-5 【Amazon】
6人の男たちが金塊強奪を企てる。
重厚にして軽薄というひどくアンバランスな内容だった。犯罪計画のディテールが詳細な反面、メンバーの因縁話になると途端に物語が安っぽくなっている。暴走族やKCIA、新左翼など、グループに関わってくる邪魔者に実在感がないのだ。こいつらが暗躍するたびにどこか遠い国の出来事のように思えてしまう。
人物についてはまずリーダー格の北川が良い。この男は良き家庭人にして非情な犯罪者という2つの顔を持っている。金塊への情熱も去ることながら、その決断力と野心がとても頼もしい。また、軟派人間の野田も、等身大の小者ぶりが好感触。プロっぽくないところが良いアクセントになっている。逆に印象の悪かったのが、幸田・モモ・春樹のやおい系で、この3人は取って付けたような陰影が鬱陶しかった。『掘った奪った逃げた』を彷彿とさせる、「全共闘崩れ」と言えば分かりやすいだろうか。前述の因縁話はこの3人がメインなのできつい。
と、ここまで乱れに乱れた本作だけど、それでも求心力を失わないのは、犯罪計画が綿密で魅力的だからだろう。特に終盤の群像劇は、『現金に体を張れ』【Amazon】並にスリリングで面白い。やはり細かい断章で刻んでいくこの形式は、ケイパーものによく似合う。