2011.4b / Pulp Literature

2011.4.12 (Tue)

新潟日報社特別取材班『原発と地震―柏崎刈羽「震度7」の警告』(2009)

原発と地震―柏崎刈羽「震度7」の警告

★★★
講談社 / 2009.1
ISBN 978-4062152334 【Amazon

2007年の中越沖地震でトラブルを起こした柏崎刈羽原発について。「止まった原子炉」、「過信の代償『7.16』の警告」、「封印された活断層」、「なぜ未開の砂丘地に」、「はがれたベール 検証・設置審査」、「絡み合う 検証『東電・三十億円寄付』」、「断層からの異議 1号機訴訟三十年」、「閉ざされた扉 原子力産業の実相」の8章。さらに特集として、高村薫へのインタビュー含む3編を収録している。

新潟日報に連載された記事をまとめた本。典型的な新聞文体で読みづらかった。体言止めと修辞疑問と紋切り型のオンパレードなのである。文章が書籍の水準に達しておらず、通読するのが困難だった。

とはいえ、内容はそれほど悪くはない。国と東電が国策として強引に原発を推進していたこと、建設しやすいよう活断層のリスクを過小評価していたこと、貧乏な地方自治体が金目当てで受け入れていたこと、さらには地元の政治家が土地転がしで大儲けしていたことなど、柏崎刈羽を起点に、原発行政の問題点を再確認することができる。こういった構造は今や福島の事故で周知のものになったけれど、たぶんどこも似たような状況なのだろう。目先の金と引換にリスクの高い施設を押し付けられる。しかもその安全性は誇張されており(現に「想定外」の事故が次々と起きている)、およそフェアな取引ではなかった。官民一体となった隠蔽行為が理不尽な状況を作り出している。これはもう国家的な詐欺と言われても仕方がないだろう。僕と契約して魔法少女になってよ、の世界だ。

キュウべえ

原発少女めると☆ダウン 第9話

2011.4.13 (Wed)

石橋克彦『大地動乱の時代』(1994)

大地動乱の時代

★★★
岩波新書 / 1994.8
ISBN 978-4004303503 【Amazon

関東・東海において、マグニチュード8クラスの地震は周期的に起こっており、今はちょうどその活動期に当たっているという。本書はまずこれまで起きた地震の経緯を説明し、続いてその発生のメカニズムを解説、近日中の大地震は避けられないとして、都市機能を分散するよう提唱している。

この分野の基本文献なのかな。本書出版の翌年に兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)が起きている。

今更読むような本でもなかったけれども、過去の地震について述べたくだりは参考になった。

以下は関東大震災での一コマ。

震災後、これを天罰だとする「天譴論」が広く唱えられた。大戦景気で贅沢三昧の成金、暴利をむさぼる悪徳商人、政争に明け暮れる政治家などに鉄槌がくだったというものいたが、相つぐ戦勝で日本人全体が傲慢になっていたからだとするものや、大正デモクラシーのなかで花開いた芸術や思潮も槍玉にあげて、人々が奢侈淫逸に堕したためだと説くものもいた。(p.79)

おや、これってどこかで見たような……。

東京都の石原慎太郎知事(78)は14日、東日本巨大地震に関連し、「津波をうまく利用して『我欲』を洗い落とす必要がある」「これはやっぱり天罰」などと述べた。

2011年3月15日06時18分 読売新聞

地震と同じくバカも繰り返すんだなあ。80年経っても何も変わっちゃいない。歴史を確認するという意味で有意義な本だった。

2011.4.15 (Fri)

橘正紀『東京マグニチュード8.0』(2009)

東京マグニチュード8.0

★★★
花村怜美 / 小林由美子 / 甲斐田裕子 / 滝川クリステル
角川エンタテインメント
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2012年7月。中学1年の少女・未来(花村怜美)は早くも人生に嫌気がさしていた。夏休みの初日、彼女は小学三年の弟・悠貴(小林由美子)とお台場へ。無邪気にはしゃぐ悠貴に対し、未来はますます憂鬱になっていた。世界の崩壊を願ったそのとき、かつてないほどの大地震に見舞われる。

来たるべき首都直下地震を題材にしたディザスターアニメ。お台場で帰宅難民と化した2人が、現地で知り合ったバイカーお姉さん(甲斐田裕子)の助けを借りて、世田谷の自宅へ向かう。災害についてはリアリティを重視しているようで、公園での炊き出しや避難所での生活、列をなして帰宅する群衆など、どれも現実にありそうな光景ばかり。地震による死者は18万人に及ぶものの、特に略奪や暴動などは起っておらず、被災者たちはそれなりに秩序を保っている。もちろん、一般人が英雄的な行動をとったりもしない。そこにあるのはゆるやかな非日常であり、よくあるパニック映画とは一線を画した、比較的誠実な描写に終始している。

ただ、そういったリサーチ面は申し分ないとして、ドラマが背景の緻密さと釣り合っていないのは問題だろう。世界を呪っていた娘が家族の絆を噛み締め、未来へ生きる前向きな意志を持つようになる。災害を通した成長が目を惹く反面、反抗期の少女と純真な弟というお子様コンビが嘘臭く、等身大の危機を描いているわりには話を盛り上げるために不自然な行動をとらせているのが引っかかる。結局、地味な題材を商業ベースに乗せるには、安易なご都合主義もやむを得ないのだろう。各話ごとに山場を作らなければならない週刊アニメの制約が裏目に出ている。

ところで、何気に東京消防庁のロボットがすごいんだけど。

東京消防庁のロボット

これってタチ○マ【Amazon】? さすがハイテク国家ニッポンと思いながら本家を確認してみたら、どうやらこれはフィクションらしい。うーん、早く追いつけば良いね。