2011.9b / Pulp Literature

2011.9.11 (Sun)

石原立也、武本康弘『涼宮ハルヒの消失』(2010/日)

涼宮ハルヒの消失

★★★
平野綾 / 杉田智和 / 茅原実里 / 後藤邑子 / 小野大輔
角川映画
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一週間後のクリスマスにSOS団でパーティーをすることになった。その準備で買い出しをするキョン(杉田智和)だったが、翌日、学校に行くと涼宮ハルヒ(平野綾)の姿がない。周囲の反応によると、ハルヒはそもそもこの学校に存在しておらず、キョンだけが彼女のことを覚えているようだった。動揺するキョンは他のSOS団メンバーを探しに行くが……。

面白そうな題材のわりには大して面白くなかったような。原作【Amazon】は未読だけれども、それでもあえて言うと、原作に忠実に作ろうとした結果、このようなかったるい話になったのではなかろうか。ちょうどテレビシリーズの第二期みたいに。平凡な世界は嫌だ! というキョンの駄々っ子みたいな欲望が強すぎて、いまいち盛り上がりに欠けたような印象。この映画の影の主人公は長門であり、せっかく彼女がデレデレになっているのだから、もう少しそちらに焦点を当てたほうがキョンの葛藤も深まったと思う。彼女の深層心理を反映したと思しきこの「エラー」は、『憂鬱』における閉鎖空間の裏返しなのだし、もっと丁寧に描いても良かったのではないか。ところが、本作は世界を戻すための手続きが多く、ろくに悩まないまま無駄に時間を食ってしまっている(アニメ映画で160分は長すぎだろう)。しかも、世界を選択するに当たっては、他人の事情も考えずにただ己のエゴで決めているし……。個人的にはハルヒと出会わない世界のほうが魅力的に見えるけれど、当事者にとってはそうではないんだなあとしか思えない。元の世界ってひとことで言えば不安定な世界、それも全宇宙的規模の不安定な世界で、常に誰かの保守を必要とするからねえ。それまで傍観者を気取っていた者が、通過儀礼を経て異常な世界を受け入れる。シリーズものとしては正しいんだろうけど、ただ1本の映画としてはいまいち釈然としない内容だった。

涼宮ハルヒの消失涼宮ハルヒの消失

2011.9.15 (Thu)

佐藤卓哉、浜崎博嗣『STEINS;GATE』(2011)

STEINS;GATE

★★★
宮野真守 / 今井麻美 / 花澤香菜 / 田村ゆかり / 桃井はるこ / 小林ゆう / 後藤沙緒里 / 関智一
メディアファクトリー
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2010年7月下旬。中二病の大学生・岡部倫太郎(宮野真守)は、秋葉原で仲間とともに「未来ガジェット研究所」なるものを開いていた。あるとき、彼がケータイで送ったメールが、過去の時刻に届いていたことに気づく。しかし、そのことによって「世界線」が移動し、とんでもない未来が待ち受けることになった。岡部は世界線を元に戻すべく、タイムリープを駆使して奔走する。

原作【Amazon】は面白いんだろうなあというのが率直な感想。内容は時間系SF+ギャルゲーといったところで、複数のヒロインとのイベントを枝葉にしつつ、幹であるトゥルーエンドを目指していく。謎多き序盤はわくわくしたものの、話の道筋が見えてからは停滞、ラストでかろうじて面目を保ったような感じだった。やっぱりこういうのはゲーム向きの話だろう。膨大なテキストとインタラクティブ性があるからこそ枝葉の部分が面白いわけで、アニメのような一本道になると退屈なお遣いイベントになってしまう。特にご都合主義の強いミスター・ブラウンと萌郁(もえか)のエピソードは、いっそのこと削ったほうがすっきりしたと思う。

とはいえ、面白い・つまらないで言えば「面白い」ほうに軍配をあげるだろう。話は思ったよりもこじんまりとしていたけれど、今思えばそのこじんまりとしたところが良かったかも。等身大の世界を基盤にしているからこその強みっていうのかな。恐ろしくリアルな秋葉原のロケーションや、匿名掲示板ネタを前面に出した独特の世界観、そして、2クール付き合っただけあってキャラクターの魅力もそれなりに感じている。ストーリーは紆余曲折したものの、最後はほどほどのロマンスに収まっていて気持ちいい。そういうわけで、ゲームの販促商材としては上々だと思う。実際、原作に当たってみたくなったことは確かだ。

関連リンク

2011.9.20 (Tue)

さとうけいいち『TIGER & BUNNY』(2011)

TIGER & BUNNY

★★★★
平田広明 / 森田成 / 寿美菜子 / 楠大典 / 井上剛 / 伊瀬茉莉也 / 岡本信彦 / 津田健次郎 / 小杉十郎太
バンダイビジュアル
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人類の中からNEXTと呼ばれる超能力者が現れた時代。一部のNEXTはスポンサーの協力のもと、ヒーローとして街の犯罪を解決していた。その模様はテレビで中継され、絶大な視聴率を誇っている。ある時、ワイルドタイガーこと鏑木・T・虎徹(平田広明)が、生意気な新人バーナビー(森田成)とコンビを組むことになった。バーナビーは幼い頃、何者かに両親を殺され、その復讐に燃えている。

ゴッサム・シティ的な都市を舞台にしたアメコミ風ヒーローアニメ。これは軽快で面白かった。ヒーローが資本主義に取り込まれていて、実在の企業(ソフトバンクやペプシネクストなど)がアニメキャラのスポンサーになっているところが目新しいだろうか。各ヒーローは性格・能力ともに個性的で、火を操ったり氷を飛ばしたり肉体を強化したりと様々。犯罪者を追う彼らの活躍にスポットを当てつつ、中ボスやラスボスといった巨悪との対決が進行していく。脚本はまあ王道と言っていいだろう。復讐を果たしたと思ったら実は黒幕がいたとか。都市の中枢にこそ巨悪が潜んでいるとか。とにかく2クールのわりにはあまりじっくり時間をかけるタイプではなく、プロットがサクサク進んでいくので目が離せない。危機→解決のスパンが短いところが特徴的で、巧妙なプロットというよりは、ノリや勢いを重視しているように見える。夕方に放送されてもおかしくない堂々たるエンタメだった。