2011.9c / Pulp Literature

2011.9.25 (Sun)

太田雅彦『ゆるゆり』(2011)

ゆるゆり

★★★
三上枝織 / 大坪由佳 / 津田美波 / 大久保瑠美 / 藤田咲 / 豊崎愛生 / 加藤英美里 / 三森すずこ / 後藤沙緒里
ポニーキャニオン
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中学生になった赤座あかり(三上枝織)が、幼馴染らが在籍する娯楽部に入部。ゆるやかで百合な学園生活を送る。

いやー、思ったよりも百合度が高くてびっくりした。『けいおん!』みたいなのを想像していたら次元が違っていたというか。基本的には女の子同士でキャッキャウフフするという内容だけど、ここまで徹底して男が出てこないのも珍しいと思う。画面に映るのは『ゆるゆり』の女の子たちだけで、生徒・先生はおろか、モブキャラにすら男がいない(そもそもこのアニメにモブキャラっていただろうか?)。そのうえ百合の描写がかなりあからさまで、何組かカップリングらしき定番の絡みもできている。女の子同士で憧れ以上の好意を示したり、過度なスキンシップを望んだり、妄想のなかで百合百合な行為を楽しんだり。主人公のあかりは自分が地味であることを悩んでいるけれど、それは1人だけ百合の輪に巻き込まれていないからだろう。周りは異様にキャラが立っているし、ちょうど台風の目のような位置にいる……。ともあれ、明るく楽しいアニメであることは確かで、百合度がもう少し抑えめだったらストライクゾーンに入っていたかもしれない。個人的には千歳の妄想鼻血ネタ(*1)がしつこすぎていまいち乗れなかった。

アイキャッチが凝っていたのが印象的だった。各キャラごとに数秒のアニメーションが用意されている。こういう細部への拘りは好感が持てるかも。

*1: 友人たちの百合な関係を妄想して興奮、鼻血を吹き出す。

2011.9.30 (Fri)

イワン・ツルゲーネフ『はつ恋』(1860)

はつ恋

★★★
Первая Любовь / Иван Сергеевич Тургенев
神西清 訳 / 新潮文庫 / 1987.1
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ISBN 978-4334751029 【Amazon】(光文社古典新訳文庫)

16歳の少年ウラジミールが、没落貴族の令嬢ジナイーダに恋をする。彼女には多くの崇拝者がいた。初恋で気も狂わんばかりのウラジミールだったが、どうやらジナイーダには別に懇意の相手がいて……。

ジナイーダが21歳、ウラジミールが16歳だから、恋が成就しないのも当然だろうか。さすがに『肉体の悪魔』のようにはいかない。相手はみんなのマドンナ的存在だし、この年代で5歳差というのはかなり大きいから、良くて小姓の地位にしかなれない。ジナイーダにとってウラジミールは初めから眼中になかった。嗚呼、何て哀れなウラジミール。完全に空回りしている。

で、今回の出来事はウラジミールにとってトラウマ級の経験だろう。少なくともただの失恋ではない。何せライバルがライバルだから……。ジナイーダの趣味はどうなってるんだ? って思うけれど、まあそれだけダンディで女ったらしだったのかな。いずれにしろ、大人と子供という越えがたい壁があるわけで、ますますウラジミールに勝ち目はないのだった。

19世紀の風俗が垣間見えるところが面白かった。当時の貴族は罰金ごっこで遊んでいたとか、ロシア人のくせにフランス語で会話をしていたとか、没落貴族の惨めな生活ぶりとか。令嬢を中心にちょっとしたサロンが形成されているのを見ると、なるほどこれが19世紀なんだなあと思う。