双子小説特集 / Pulp Literature

Last Updated: 2007.12.22 (Sat)
アレックス・シアラー『海のはてまで連れてって』(鮮烈度 ★★★) を追加。

このコンテンツについて

双子が登場する小説を集めています。フィクション世界では何かと個性的な扱いを受ける双子。入れ替わりトリックに使われたり、猟奇的な雰囲気を演出したり、その用途は様々です。このコンテンツでは、そんな神秘な双子にスポットを当ててみることにしました。全国に点在する双子小説ファンのお役に立てれば幸いです。

説明文の末尾にある★は鮮烈度を表します。双子のインパクトが強ければ強いほど評点は高くなります(五つ星が最大)。作品の評価を表しているわけではないので注意。

双子小説に関する情報は、メールフォームまでお気軽にお寄せ下さい。

作品リスト(鮮烈度順)

江戸川乱歩『双生児』(1924-)【Amazon
一人二役ものとそのバリエーションを収録したアンソロジー。表題作では双子の近親憎悪を題材としている。その憎悪の強さたるや、「ほかになんの理由がなくても、ただ同じ顔をした肉親であるということだけで、充分殺してしまいたくなるほど」。(鮮烈度 ★★★★★)[主役]
アゴタ・クリストフ『悪童日記』(1986)【Amazon
「大きな町」から疎開してきた、双子の幼い兄弟。彼らは「魔女」と呼ばれる祖母の家に預けられ、生き抜くために労働と訓練に励む。「体の鍛錬」と称してお互いの体を叩いたり、「精神の鍛錬」と称してお互いを罵ったり。さらに彼らは他人を脅迫し、殺人にも手を染める……。(鮮烈度 ★★★★★)[主役]
エドワード・ケアリー『アルヴァとイルヴァ』(2003)【Amazon
アルヴァとイルヴァは双子の姉妹。自分たちのことを一心同体だと信じていて、離ればなれになったら死ぬと思っている。(鮮烈度 ★★★★★)[主役]

岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』(1999)【Amazon
16歳のときに遊郭へ売られた女郎に双子の姉妹。間引き屋の母は生まれたばかりの姉妹の片方を……。(鮮烈度 ★★★★)[主役]
江國香織『なつのひかり』(1995)【Amazon
姿格好がまったく同じで、挨拶をされても返事をしない、無愛想な10歳くらいの双子の姉妹が登場。マンションの非常階段をたまり場とし、顔を見合わせてくすくす笑いをしている。(鮮烈度 ★★★★)
村上春樹『1973年のピンボール』(1980)【Amazon
目が覚めたら「僕」の両脇に双子の姉妹が寝ていた。(鮮烈度 ★★★★)

恩田陸『球形の季節』(1994)【Amazon
双子の男子高校生(忠彦&考彦)が登場。両親の離婚で離ればなれになった彼らは、同じ市内の別々の学校に通っている。「潮見忠彦と孝彦は、本当に瓜二つだった。中肉中背、サッパリと切った黒髪、キリッとした眉に利発そうな瞳。「日本の少年」というタイトルをつけて総務省のポスターにでも起用したいような、爽やかで「正統な」感じのする少年二人であった。質問をしてもハキハキとして、片方がしゃべれば同じ声があとを続ける。息の合った――というよりも一つのものを二つに分けたような二人が、互いの顔をチラリチラリと見ながら話し続ける。」(p.177) (鮮烈度 ★★★)
川端康成『古都』(1962)【Amazon
生き別れの双子の姉妹が再会する(千重子&苗子)。千重子に想いを寄せていた男が苗子に結婚を申し込むという、双子小説ならではの逆転劇が見られる。また、姉妹は同衾も果たす。(鮮烈度 ★★★)[主役]
白石公子『僕の双子の妹たち』(2004)【Amazon
「僕」の妹が二卵性の双子(実のり&穂のか)。実のりはO型の大学生で、穂のかはA型の専門学校生。「いつになっても、実のりと穂のかの関係は、バランスのとれないやじろべえのようだ。実のりが不安定になると穂のかはしたたかになって冷静になる。実のりがおちつくと穂のかが混乱していく。永遠に終わらないシーソー遊びだ。」(p.196-7) また、実のりは大学の先生と不倫関係にある。(鮮烈度 ★★★)
宮部みゆき『ステップファザー・ステップ』(1993)【Amazon
気のふれたお神酒どっくり」のような、双子の男子中学生が登場。「ぼくたちは」、「双子なんです」といった具合に、一つの文章を分割し、2人で交替しながら話をする。(鮮烈度 ★★★)[主役]
皆川博子『死の泉』(1997)【Amazon
第2次世界大戦下のドイツ。双子の姉妹がナチスによって人体実験の材料にされる。人為的に成長を早められたり、生命を維持するために「接合」されたり……。(鮮烈度 ★★★)
横溝正史『八つ墓村』(1951)【Amazon
田治見家を取り仕切る双子の老婆(小梅&小竹)。2人を前にした語り手が、次のように述懐する。「しかし八十を越えて、しかもこんなによく似た双生児というものは珍しいとか異様とかいうよりも、むしろなんだか薄気味悪いのである。先天的な相似はともかく、後天的にできたはずのしわの一筋から、皮膚のシミにいたるまで、そっくり同じで、一方が笑えばもう一方の顔の筋肉も、同じようにほころびるのではないかと思われるほどだった。」(鮮烈度 ★★★)
ジョン・アーヴィング『また会う日まで』(2005)【Amazon
主人公が通う幼稚園に双子の姉妹(ヘザー&パッツィー)。そっくりの2人は離れたがらない。どちらかが病気になると、もう一方も幼稚園を休む。昼寝をするときは、マットを重なり合うように敷いて、一枚の毛布にくるまる。「そうやって一つの子宮に同居した過去を模倣していたのでもあろうか。」(p.189) また、同級生に男女の双子(ゴードン&キャロライン)がいる。(鮮烈度 ★★★)
P・G・ウッドハウス『比類なきジーヴス』(1923)【Amazon
イギリス貴族の語り手の親戚。双子の兄弟にして比類なき問題児。語り手にタカって遊びまくり、2人して同じ女性に恋をする。度の過ぎた悪戯によって大学を放校された。(鮮烈度 ★★★)
ガブリエル・ガルシア=マルケス『予告された殺人の記録』(1981)【Amazon
復讐を誓った双子の兄弟が、ターゲットをブッチャーナイフで滅多刺しにする。(鮮烈度 ★★★)[主役]
パノス・カルネジス『石の葬式』(2002)【Amazon
表題作に登場。双子の姉妹が実の父から虐待されて育つ。18年間首輪をつけて地下室で監禁されるも、隙を見て脱走する。(鮮烈度 ★★★)[主役]
アレックス・シアラー『海のはてまで連れてって』(2003)【Amazon
双子の兄弟(「ぼく」&クライヴ)が、父が働く豪華客船に忍び込む。「ぼく」は徹底的にクライヴをバカにしており、将来は刑務所で暮らすだろうと予想している。確かにクライヴは普通ではない。ドン・キホーテよりややマシな程度の、痛烈なボケを連発している。(鮮烈度 ★★★)[主役]
ゼイディー・スミス『ホワイト・ティース』(2000)【Amazon
ロンドンに移住してきたムスリムの子供が双子(ミラト&マジト)。ミラトは未成年ながらイスラム原理主義グループに入る。マジトは伝統を受け継がせようと故郷に送り返されるも、何の因果かイギリスナイズされて帰ってくる。(鮮烈度 ★★★)
W・G・ゼーバルト『目眩まし』(1990)【Amazon
少年カフカにそっくりの双子が登場。揃ってくつくつ笑いしている。(鮮烈度 ★★★)
ロディ・ドイル『ヴァン』(1991)【Amazon
失業者の中年2人が、ヴァンを購入して屋台形式のチッパーズの準備を進める。失業者の子供が双子(姉妹)。男友だちをけしかけて、親父のヴァンをぼっこぼこに叩かせる。(鮮烈度 ★★★)
ジョン・バンヴィル『バーチウッド』(1973)【Amazon
蒼白な双子の姉妹(エイダ&アイダ)が移動式のサーカスで働いている。メロディに乗って荘重な孔雀の舞を披露。ほか、この小説には双子がもう一組出てくる。詳述は避けるが、そちらのほうが遙かに不気味。(鮮烈度 ★★★)
ジョン・バンヴィル『海に帰る日』(2005)【Amazon
語り手が11歳の双子の姉弟(クロエ&マイルス)と知り合う。クロエ曰く、2人は「二個の磁石みたいなもの」。しかし、「逆向きになっていて、引き合ったり反発したりする」。クロエは感情を表に出さないタイプ。マイルスは口がきけない。2人は家庭教師をからかったり、通りがかりの少年に因縁をつけたりする。(鮮烈度 ★★★)
パトリック・マグラア『失われた探検家』(1988-)【Amazon
「串の一突き」に二卵性双生児の男女。事故で死別した彼らが重要な役割を果たす。また、「血と水」に成人した双子の姉妹が登場。2人だけでひそひそ話をしている。(鮮烈度 ★★★)
サルマン・ラシュディ『真夜中の子供たち』(1981)【Amazon
双子の姉妹がちょっとだけ登場。「ふた目と見られぬほどの醜女であったのに、拝顔の栄に浴した男たちをことどとくひたむきな、命を賭けるほどの恋のとりこにしてしまう能力」を持つ。(鮮烈度 ★★★)

綾辻行人『殺人方程式』(1989)【Amazon
若手刑事に双子の兄。(鮮烈度 ★★)[主役]
原りょう『そして夜は甦る』(1988)【Amazon
双子の中年弁護士が登場。兄は刑事弁護士、弟は経理弁護士。顔かたちは瓜二つだが、服装や装飾品が異様に違っていて、それが逆にインパクトになっている。(鮮烈度 ★★)
宮沢賢治『双子の星』(1918)【Amazon
双子のお星様が主人公。(鮮烈度 ★★)[主役]
グリム兄弟『完訳グリム童話集 3』(1857)【Amazon
「ふたり兄弟」KHM 60の主人公が双子。かっとなった弟が兄の首を切り落としている。入れ替わりも完備。(鮮烈度 ★★)[主役]
アンドレイ・クルコフ『大統領の最後の恋』(2005)【Amazon
語り手に双子の弟。精神を病んでいる。さらに、妻が双子を妊娠するが……。(鮮烈度 ★★)[主役]
シャン・サ『女帝 わが名は則天武后』(2003)【Amazon
双子の侍女が登場する。(鮮烈度 ★★)
ジェフリー・ディーヴァー『12番目のカード』(2005)【Amazon
リンカーン・ライムシリーズ6作目。負傷して入院した新米刑事を、彼の双子の兄が看病している。(鮮烈度 ★★)
ミシェル・トゥルニエ『魔王』(1970)【Amazon
ナチスの元で少年狩りをしている大男が双子の男の子と出会う。「肉体が霊魂に掟をあらかじめ教え、霊魂を気まぐれで隷従させるような深いところに生命力を秘めているように思えるあの双生出生というものに、彼はそれまでずっと魅せられてきた。それは自然の気まぐれだ。自分を別な自己にすることによって、一方の存在にもう一方の存在の内面のあらゆる秘密を有無を言わさずにゆだねる自然の気まぐれだ。」 双子の魅力を簡潔に示した名文と言えよう。(鮮烈度 ★★)
ウィリアム・トレヴァー『聖母の贈り物』【Amazon
「トリッジ」に双子の姉妹が登場する。(鮮烈度 ★★)
J・G・バラード『楽園への疾走』(1994)【Amazon
双子の姉妹がくすくす笑いをして夫人を怒らせている。(鮮烈度 ★★)
ハロルド・ピンター『ハロルド・ピンター全集 3』【Amazon
「ティー・パーティ」に登場。会社社長の息子が双子。くすくす笑いとひそひそ話を披露する。(鮮烈度 ★★)
マルセル・プルースト『失われた時を求めて 8 第四篇 ソドムとゴモラ II』【Amazon
トマトみたいな顔をした双子の兄弟が登場する。1号トマトが男たちの好みにも応じるのに対し、2号トマトは専らご婦人たちの相手に終始。かつてトマトに逢い引きを申し込んだ男が、1号と2号を取り違えてぶん殴られたことがある。(鮮烈度 ★★)
アルフレッド・ベスター『ゴーレム100』(1980)【Amazon
セレブ集団「蜜蜂レディ」のメンバーに双子の姉妹(ウジェダイ&アジェダイ)。ロシア語で「だれでしょう」と「どれでしょう」の意味。漆黒の髪に真っ白い肌をしている。(鮮烈度 ★★)
シャルル・ペロー『眠れる森の美女』(1695,97)【Amazon
「親指小僧」に登場。7人いる息子のなかに双子が3組がいる(しかも年子)。ペロー自身も双子で、幼いときに片方を亡くしたとか。(鮮烈度 ★★)
エドガー・アラン・ポー「アッシャー家の崩壊」(1839)【Amazon
アッシャー家の当主ロデリックには双子の妹がいた。彼女の死体は部屋に安置されていたが……。(鮮烈度 ★★)
アリステア・マクラウド『冬の犬』(2000)【Amazon
短編集。「完璧なる調和」では、未亡人となった女が、元夫の双子の兄に言い寄る場面が見られる。(鮮烈度 ★★)
デイヴィッド・ミッチェル『ナンバー9ドリーム』(2001)【Amazon
屋久島出身の三宅詠爾には、かつて二卵性双生児の姉がいた。少年時代、その姉が予言めいたセリフを口にし……。(鮮烈度 ★★)[主役]
莫言『豊乳肥臀』(1995)【Amazon
語り手が二卵性双生児。ほか、2組の双子が登場する。(鮮烈度 ★★)[主役]
トニ・モリスン『ジャズ』(1992)【Amazon
盲目の双子(片方だけ盲人)が、客寄せのため店内でギターを演奏している。ただし、パチモンの可能性あり(鮮烈度 ★★)
チャンネ・リー『空高く』(2004)【Amazon
一卵性双生児の姉妹。語り手が若かった頃、友人とともに彼女らと性交渉を持った。また、別の場所で二卵性双生児も登場する。(鮮烈度 ★★)
アルンダティ・ロイ『小さきものたちの神』(1997)【Amazon
二卵性双生児の兄妹が主人公。「シャム双生児のまれな例であるかのように、体は別だが心は一つ」。キャラ設定は意外と普通。(鮮烈度 ★★)[主役]

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